お知らせ

第3弾のメンタルトレーニング通信のタイトルは「やる気と実力発揮」です。
スポーツ現場では、「やる気出せ〜!」と指導者が選手に声をかける場面を見かけますが、
そもそも、「やる気」とは一体どんなものでしょうか? 基本的な知識について勉強していきましょう。

1−1【やる気とは?】
専門用語で「動機づけ・モチベーション(Motivation)」と言います。
モチベーション(Motivation)という言葉の語源はラテン語で(Movere= to move)が元となっています。
基本的な意味としては、「人を行動に駆り立てること」すなわち行動の活性化機能であるといえます。

1−2【やる気の種類】
人間の内から湧き出る「好き・楽しい・面白い」といったやりがいのような感情が原動力となって作られるやる気のことを内発的動機づけと呼びます。
一方で、自分以外の外からの刺激によって作られるやる気のことを外発的動機づけと呼びます。

一流選手ほど、高い内発的動機づけを持っていることが研究で分かっています。
つまりは、「競技が好き・楽しい・面白い」という気持ちを持っているということですね。
メンタルの弱い選手は、競技は好きだけど、練習はあまり・・・、試合は苦手・・・といったような回答をする場合が多くあります。
自分の競技を好き・楽しい・面白いと感じる気持ちが高まってくると競技パフォーマンスの向上にもつながっていきます。
 また、先ほど、内発的動機づけが重要と書きましたが、外発的動機づけも使い方次第で、あなたのモチベーション管理の大きな手助けとなります。
ただし、外発的な動機づけに頼り切りになってしまうと、やる気が不安定になってしまうため要注意です。

1−3【動機づけの働き】
次に動機づけの機能について、説明していきます。
前述したように、一流のアスリートは目標設定をすることによって、目標を達成したい!という内発的なやる気を高めていきます。
しかし、目標を立てっぱなしにしてしまうと、次第に目標に対する気持ちは薄れてしまうものです。
目標を立て、達成に向けた取り組みの評価や振り返り、そして、達成に向かうためのプランを構築していくサイクルを作ることで、
「目標に近づいている自分」を実感し、動機づけを高めていくことができます。
つまり、目標は立てて飾っておくだけでは、効果は半減してしまうということです。

  ①人が行動を喚起し(行動始発機能):目標設定
  ②行動を持続させる(行動維持機能):評価
  ③行動の再現性を高める(行動強化機能):振り返り、目標の再設定

2【実力発揮とやる気】
今度は、試合中に必要となるやる気について考えてみたいと思います。
アスリートの実力発揮度を確かめるための心理テスト(DIPCA.3)では、やる気を4つの項目から説明しています。

1)忍耐力:がまん強く練習や試合をすることができるか
2)闘争心:大舞台でも「やってやる」という気持ちが作れるかどうか
3)自己実現意欲:向上心や、自主性・主体性といった上手くなるために必要なやる気
4)勝利意欲:勝利に対するこだわり、負けず嫌い

1章では、毎日の練習や取り組みの質を高めるやる気について紹介しましたが、
2章では、試合での実力発揮という部分をピックアップして説明してみました。
アスリートの実力発揮には、自分でやる気をコントロールできるようになることが必ず求められます。
今の自分のやる気と向き合ってみて、より質の高いやる気を作れるように準備してみましょう。




第2弾のメンタルトレーニング通信のタイトルは、「人間の損得勘定」です。
アスリートが毎日の練習の中で、自分のやる気をコントロールするための1つのヒントになればと思います。

【はじめに】
みなさんは、継続して何か取り組みを続けることは得意ですか
私自身、継続して何かを続けるということがとても苦手ですが、
ここでは、どうすれば少しでも継続力が身につくのかを考えてみたいと思います。

【人間の脳】
そもそも人間の脳は、自分が行う物事に対して価値があるかないかという判断をしています。
そして、当然価値がないと判断してしまうと、行動を起こすことを止めてしまいます。
つまり、自分の脳に自分が行う取り組みに価値があるということをプレゼンしないといけない訳です

【プレゼンの仕方】
では、どのようにしてプレゼンをしていくと良いのか、ポイントを考えていきたいと思います。

----POINT--------------------------------------------------------------------------------------------------
①質の高い目標設定をする
 いつまでに達成するのか(期限を明確にする)
 達成するまでの具体的な手段、方法を挙げる
 ゴール(長期目標)だけではなく、中間で評価ができるように細かい目標を設ける(中期目標)

②達成後の価値(報酬)を考える
 自分がその目標を達成できた時に何が得られるのかを書き出す。(あればあるほど良い)

③評価・振り返りをする
 日々の取り組みに対する評価や振り返りを行い、積み重ねを実感できるようにしていくこと。
 積み重ねで変化が生まれると自信につながり、行動は強化されていく。
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【まとめ】
目標達成に向けて、何か継続して成し遂げたいことがある時に大切になってくるのは、
まず、目標と達成までの道のりをハッキリさせてあげることです。
そうすると、自分が目標達成のためにどの程度努力する必要があるのかが見えてきます。
その上で自分がその努力と引き換えにしてでも目標を達成したいか=価値について考えます。
価値が努力を上回った時に、人間は行動を起こしてみようと動き出します。
目標に向けて継続して努力できたということ自体が1つの大きな価値になりますよね
 
 でも...動き出すだけで、途中で飽きてやらなくなってしまうのも人間です。

なので、中間ゴールをいくつか設けて集中のONとOFFを細かく作ってあげましょう。
目に見える形で、目標を貼り出したりするのも効果的です。
1人だと続けられない人は、パートナーを作ってお互いを評価するというアイデアもあります。

一番は、毎日の習慣にできるかというところです。

「目標のためにやらなければならない」という意識は、ストレスにも感じてしまう部分があります。
毎日、歯を磨くように、当たり前の習慣として、自分の生活に取り入れる方法を考えながら、
着実に目標に近づいていく自分を楽しみましょう!!
自分は努力すれば変化できると期待することを忘れずに!!

----参考文献等---------------------------------------------------------------------------------------
著:吉田 たかよし(2011)「子供がヤル気を出す家庭の秘密-成績がみるみる上がる吉田式テクニック-」
著:西田 保(2013)「スポーツモチベーション-スポーツ行動の秘密に迫る-」

心理学的背景
Atkinson(1964) 期待価値理論
  Weiner(1972) 原因帰属理論 causal attribution theory
  Dweck(1986) 達成目標理論 achievement goal theory
Deci and Ryan(2002) 自己決定理論 self-determination theory
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メンタルトレーニング専門部から定期的に通信を発行していきたいと思います。
各競技団体の指導者の皆さまに是非ご活用頂ければ幸いです。

第1弾「競技を楽しむ」では、アスリートの競技力向上において「楽しむ」という考え方がなぜ必要になってくるのかを紹介していきます。はじめに、アスリートが競技力を高めていく上で土台となるのが「やる気=モチベーション」です。モチベーションがあるかどうかで、その選手の練習の質や試合での実力発揮が大きく変わってきます。

モチベーションには、内発的なモチベーション(内から出るやる気)と外発的モチベーション(外からの刺激によって作られるやる気)があり、トップアスリートは、共通して高い内発的モチベーションを持っていることが研究で分かっています。内発的モチベーションを高めるためには、競技に対する「好き・楽しい・面白い」という気持ちを高めていくことや目標設定を行い、自分がどんな選手になりたいかを具体的にしていくことが大切になります。

実は1流選手から3流選手の間では、「競技を楽しむ」という考え方に大きな差があります。

----POINT----------------------------------------------------------------------------------------- 
1流選手
=チャレンジや自分の限界に挑むことを楽しむ
⇨成功からだけではなく、失敗からも学びを作り、競技者としての成長が早い
2流選手
=結果を楽しむ
⇨結果の良し悪しによって気持ちの波が出来てしまう。失敗から学びを作ることが難しい
3流選手
=サボること・手を抜くことを楽しむ
⇨競技者としては黄色信号。なぜ競技をやっているのか、もう一度目標を見直す必要あり
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皆さんの「競技に対する楽しみ方」はいかがでしたか?
パフォーマンス発揮においても「競技を楽しむ」という考え方がキーワードになってきます。
ぜひ一度考えてみてください。

----参考文献等---------------------------------------------------------------------------------------
著:高妻 容一(2014)「新版 今すぐ使えるメンタルトレーニング 選手用」ベースボールマガジン社
著:西田     保(2013)「スポーツモチベーション-スポーツ行動の秘密に迫る-」

心理学的背景
         Weiner(1972) 原因帰属理論 causal attribution theory
          Dweck(1986) 達成目標理論 achievement goal theory
Deci and Ryan(2002) 自己決定理論 self-determination theory
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